土地の境界トラブルを裁判なしで解決を図る
- 土地の境界をめぐるトラブルは、裁判で解決するしかないと思っていませんか?
- 法務局が行っている「筆界特定制度」を活用すれば、裁判をしなくて も、境界トラブルを早期に解決することができます。筆界特定制度は、その土地が登記されたときの境界(筆界)について、現地における位置を公的機関が調査し、明らか にする制度。筆界の位置を示す証拠として活用することができ、境界トラブルの防止や解決に役立ちます。
- 筆界特定制度を利用するメリット
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- 費用の負担が少ない筆界特定制度を申請する際には、申請手数料がかかります。申請手数料は、対象となる土地の価額によって決まり、例えば、対象となる土地(2筆)の合計額が4,000万円である場合における、申請手数料は、8,000円になります。また、申請手数料のほか、現地における筆界の調査で測量を要する場合には、測量費用を負担する必要があります。
一般的な宅地の測量を行う場合における、測量費用は数十万円程度となりますが、申請手数料と合計しても、裁判に比べて、費用負担は少なくて済みます。
- 早期に判断が示される筆界特定制度の手続は、訴訟手続に比べて早期に判断が示されます。裁判では、判断が示されるまでに約2年かかるといわれていますが、筆界特定制度の場合は、その多くが半年から1年で判断が示されます(ただし、複雑な問題の場合には、判断までに長期間を要するものもあります)。
- 民間の専門家の意見を踏まえた判断であり、証拠価値が高い筆界特定は、公的機関が専門家の意見を踏まえて行った判断であることから、その内容について高い証拠価値があるといえ、裁判手続でもその結果が尊重される傾向にあります。
このほか、筆界特定制度は、境界紛争の相手方が話し合いに応じてくれない場合でも、一方の土地の所有者だけで申請することができます。
また、隣人と裁判をしなくても、土地の筆界を明らかにすることができ、土地の筆界に関する問題の解決やトラブル防止を図ることができます。
ただし、所有権の範囲についての争いについては、直接の解決を図ることはできません。
また、筆界特定の結果は、行政によって一つの基準が示されると いうことにとどまり、拘束力はありません。特定した筆界に不満がある場合や、拘束力のある判決が必要な場合には、裁判(筆界確定訴訟)で解決を図ることができます。
- 境界問題で困ったときは
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- 筆界特定制度公図(地図)の筆界(境界)が不明となった場合に、筆界特定登記官が土地家屋調査士等による筆界調査委員の意見に基づき真実の筆界を特定します。本人もしくは代理人が筆界特定申請書を法務局に申請します。法務局の職員が、専門家の意見を聴いて、現地で筆界を特定します。(申請者等の意見に拘束されずに、真実の筆界を探し出します。)
- 裁判外紛争解決制度(ADR)土地の境に争いがある場合、裁判所に行くことなく土地家屋調査士と弁護士が双方の話し合い(調停)によって柔軟に解決に導きます。
相談・もしくは調停の申立書を土地家屋調査士会に申し立てます。土地家屋調査士が弁護士と一緒に相談・調停に応じます。(民間による柔軟な解決のお手伝いをいたします)